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横山光輝愛蔵版初期作品集 四枚の女王 金色のキューピッド

私はね、「四枚の女王」のような作品が一本描けたらそれが一生の代表作になるレベルだと思うんですよ。
ミステリの傑作だし竜作兄貴そのまんま出てくるし(そして死ぬし)あるときは杉村博、あるときは上田鉄也、あるときは花村耕三、その実態は村雨健二!だしフランケン博士も出てくるしお遊びも満載で楽しいです。

「金色のキューピッド」もきめの細かい美しい良作です。
ちんぴらだけど品があり、情に厚く大切なものは失ってない「おじちゃん」と少女由理子の心の交流が暖かい作品です。「おじちゃん」こと「山城三郎」を見てると、昔の大人ってこんなだったのかなあと思いを馳せます。
横山光輝の作品に出てくる人物は、どんなちんぴらでもどこか上品なんですが、少女、少年向け以上に作家が本来持っている品性でもあるのだろうと思います。

結果、やっぱり横山光輝は少女マンガも面白いという事を実感。
機会があれば他の作品も読んでみたいです。

母さんふたり

少女漫画の愛蔵版ですが、くだらない理由で欲しかったものを、本当に買ってしまって横光先生に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
すごくくだらないネタにさせていただこう(正座)と思って読んでみた自分を恥じ入る名作で尋常でない面白さでした。
現在私たちが想像する少女マンガのレベルを超えている…重厚なお話です。石ノ森先生の「あかんべえ天使」に通じる雰囲気ですが、この当時の少女マンガのレベルがとても高かったという事も言えると思います。
当時の読者層の女の子が大人びていたという事かもしれません。

戦後10年経った頃の、義理の両親に、でもそれは愛されて育った少女が実の母に会って…というお話ですが、当時の世相も反映された読み応えのある作品で話としても本当に面白いです。
主人公のかえでちゃんの心理描写を軸に、兄健一さんを主人公としても読める技巧の効いた作品でもあります。健一さんをめぐる男たちの魅力と存在感たるや…!というか健一さん、ちょっと、村雨健二っぽいんだよな…

子供向けという感じではなく、大人たちの心理描写も驚くぐらい繊細で真に迫り、下手な大人向け作品よりよほど胸を打つのです。

他の少女マンガ作品も読んでみようと思います。

項羽と劉邦読破

こちらも読み終わりました。
私が学生だったころ、リアルタイムで描かれていたのがこの作品で、本屋で新刊が並んでいたのを当時目にしていました。だから私の中では横山光輝=項羽と劉邦の人、というすりこみができていたようです。

司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を先に読んでいたのですが韓信の印象があまり残っていませんでしたがすごい人だったんですね…。
あと諏訪緑の「紀信」という作品も大好きなんですが、あの作品が舞台としている時期がどういう時であったかが良くわかり、また「紀信」によって淡々と描かれてる篭城戦の生々しい内側を想像しながら読めて、実に胸が熱かったです。どっちも読んどいてよかったよ。
項羽の描写がクライマックスに至るまで稀薄だった気もしていたのですが、それがかえって最期を際立たせていたのが良かったです。

また司馬遼の項羽と劉邦読み返してみようと思います。

鉄人読破

読み終わったよおお
鉄人面白かったです。まめに感想書けば良かったんですがとりあえず箇条書き。

・オックス萌え、途中から出てこなくなって寂しい
・ロビーはアシモフが元ネタなんだろうと思うと興味深い
・距離が近づきすぎな署長と正太郎くん
・ジョンソン&ケリー兄弟萌え、宇宙人間というのはいわゆるサイボーグで、宇宙開発用に臓器などを人工的に強化された人間を指し、当時LIFE誌に載った記事をご覧になったのだと思われます。石森章太郎のサイボーグ009もここからヒントを得て生まれたそうです。

サンダー大王に生かされた要素も多く興味深かったです。署長の正太郎くん溺愛っぷりとかね。でもステンガー大佐は自分の子供のようにかわいいって言っても何かが違う気がしていた。

鉄人はもっと大河ドラマなのかと思ってましたが、次々個性的な敵が現われては消えてゆき、飽きさせず面白かったです。思わずうなるような話も多かったです、赤死館の親子の話とか。

あと大人の男たちの色気が半端なかった。敷島博士の博士フェロモンは最後まで健在だったし、わたくし大人の男性は受けにする傾向があるのですが、横光成人男子は堂々たる攻めばかりなのに驚嘆です。ふだんショタ攻め好みのこの私が敷島博士×正太郎くんならいけると思えたのだ。

あと戦いの描写が整然としてて、ここも横光先生らしい魅力だと思いました。後年戦国ものや中国史ものを見事に描かれた力量が垣間見えます。

とにかくさすがに魅力的な作品でした。萌えどころも山ほどあって、描きたい人たちも山ほどいます。あとオックス描きたい。さんざん言われていますがオックスダントツでかっこいい。

鉄人文庫6巻まで

ようやくぼちぼち読んでいます。一応全巻そろえてはあるよ。
大人たちの色気がたまりませんね。
6巻の解説で安彦良和氏がショタの語源に触れられていたのには悶絶しましたが、横山光輝の絵に色気があるっていうのは実際そのとおりだと思うんですよね。
敷島博士とか何でしょうかあのフェロモン。村雨健次もたまらんよ。

それで、なんか思ったんですが、手塚治虫氏の作風の印象は青年、石森章太郎は少年、横光は大人と感じると以前書いたんですが、それはそのまま各先生方が漫画を描き始めた年齢を反映してるんじゃないかなあと。もちろん持って生まれた性質はあるとも思うんですが、あながち偶然とも思えなくて…。
横山光輝の作風は、もう鉄人の時点で大人そのものです。
正太郎くんも少年の姿はしていますが立派に大人ですよ。
当時の少年達は、そういうところに惹かれたんじゃないかなあと思うわけです。私が小学生の頃、再放送していた初代ガンダムに夢中になったように、全てを理解はできなくても、子供だましの少年向け作品ではなく、鉄人が妥協のない本物である事を見極めていたのではないでしょうか。そら絵は今と比べると稚拙に見えますが、ストーリーは今読んでも実に読み応えがあります。

項羽と劉邦

現在文庫で5巻まで読みました。4巻あたりから面白くなってきました。
主に范増が張良にギギギする姿が。どうしてもヨミ様思い出す。

現在韓信ブレイク前らしいのですが、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」ではあんまりいい印象が残っていない人なのです。これからどうなってゆくのだろう。項羽と劉邦読んでるにも関わらず、ほとんど先の読めないこのスリル。自分の記憶力にびっくりだ。
というかやはり横光歴史ものの分かり易さは素晴らしいと思います。鴻門の会ってこういう事だったのか!!と心の底から理解できました。
あとめんどくさかったら読まなくていいなんて…先生ったら…。思いやりに涙出そうです。
漫画作品に関わらず半分くらい活字な事も多い石森先生と対照的すぎます。新幻魔大戦とか家畜人ヤプーとか。いえ石森作品も大好きです。

項羽と劉邦を読んだきっかけが、諏訪緑の「紀信」という作品なのですが、果たして横光はここらへんどういう風に描いてくれてるのか。とても楽しみです。

これから6巻読みます。文庫で全12巻、揃えることは揃えてあるのだ。

水滸伝

イラスト 17.png
文庫5巻まで読みました。
ゲームの幻想水滸伝が好きなのもあって興味津々でしたが、屈強で礼儀正しい男たちが理不尽に不幸な目にあっていくのがかわいそうやら萌えるやら(ええっ)。あやうく後ろの貞操を失いかけた林沖に特に萌える(心の底からすみません)。魯智深との再会の場面が微笑ましいやらかわいいやら。まわりの反応がういういしいカップルを見守るようなのも萌えるんだぜ。
魯智深の宿星はビクトールだそうなので林沖がフリックなのかなあとおもったら、フリックは青面獣楊志だそうで、それはそれで萌える。

個人的に69年から70年代の絵柄が好きなので、正にその頃描かれたこの作品は、三国志より好きかもしれません。外伝は70年代半ばに描かれたようで、項充がまるっきり行者さまやマーズな点について。

キャラクターは個性的でバラエティに富んでいて、色々妄想も広がるし描きたくなるキャラも多いです。あと6巻を残しているのですが、読破したらまた改めて読み直したいですね。

あばれ天童

うっかり読破してしまいました。
おまえ原稿…

チャンピオン掲載作品にして唯一の学園物ということで、チャンピオンコミックスで入手したのですが、御大のういういしいカバー折り返しのコメントが何度読んでも涙出そうです。

現在唯一読んでる週刊少年誌がチャンピオンなのですが、読んでて現在の連載作品に共通点を見つけたり、他の作品で同じ名前のキャラがいて関連を考えたり(木崎というキャラがちょっとだけ出てる作品がある)違う意味でも色々楽しかったですが、作品としてもとても楽しかったです。

なんていうか、心をこめて心を砕いて描いておられたのが伝わってくる作品でした。面白かったし読んでて楽しかったし、暖かい気持ちになれる作品でした。しかしそんな中でも容赦なく人死にがでるのはさすがといわざるを得ないぜ…。いやヤクザの抗争でですが。
また石森で申し訳ないですが、すでに大ベテランだった作家がチャレンジした学園ものという事でグリングラスの印象とかぶります。手探りで、でも楽しそうに描かれていたのも同じ。

んでチャンピオンなのでアンケートに「あばれ天童面白かったです!!」とかうっかり書いて出してしまいそうだったんですが、横山先生がすでに故人である事を改めて思い出し、もう直接感想を伝える事はできないんだなあと思うと本当に涙出そうでした。
ますます水島先生を大事にしないと。生きて漫画描いてくださるだけで大変な事なんだぞ。この瞬間を大事にしないといけないんだぞ、と思えるところがまさにあばれ天童ではなかったかと、今すごいたまたまだったんですが思いました。
綺麗にまとまったところで原稿やります。

伊賀の影丸

愛蔵版で読んでます。現在闇一族まで。魅力的なキャラが次々出てきては容赦なく死んでゆくのがもったいない…。

というか邪鬼(笑)。

なんだか影丸で腐妄想が広がってしまう私はどうしたらいい…?
今読んでも普通に面白すぎるんじゃないかこれ。
昔の子供たちは本当に幸せだったんだなあ…。

新・仮面の忍者赤影

80年代後半にアニメ化に合わせてチャンピオンに連載された作品だそうですが普通に面白かったです。というか青影に悶絶した(笑)いや普通にかわいすぎて吹いた。なんだあのすねた時の顔とか「殺す」の絶妙のタイミング(笑)(笑)無印とは別の意味でかわいすぎるだろ!
そんな催眠術にかかって自分の命を狙ってくる青影をクールに縛ってスルーする赤影さんにも悶絶です。あなた対応がドライすぎますよ。もうちょっと苦悩とかしませんか。拍手で催眠がとけるあたり行者さま思い出した。
あと屈強な男どもに抱きしめられたり押し倒されたりしてもう逃がさないとか離さないとか言われてるアッー!な白影さんとか素敵すぎますね!すまん普通に萌えてしまった…。
オネエとアッー!な時点でこれがチャンピオンクオリティ…(ゴクリ)かと思ったんですがほんとにそうなら横山御大偉大すぎるよ。紙面の空気読みすぎだよ。

以下チャンピオン語り。
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