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母さんふたり

少女漫画の愛蔵版ですが、くだらない理由で欲しかったものを、本当に買ってしまって横光先生に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
すごくくだらないネタにさせていただこう(正座)と思って読んでみた自分を恥じ入る名作で尋常でない面白さでした。
現在私たちが想像する少女マンガのレベルを超えている…重厚なお話です。石ノ森先生の「あかんべえ天使」に通じる雰囲気ですが、この当時の少女マンガのレベルがとても高かったという事も言えると思います。
当時の読者層の女の子が大人びていたという事かもしれません。

戦後10年経った頃の、義理の両親に、でもそれは愛されて育った少女が実の母に会って…というお話ですが、当時の世相も反映された読み応えのある作品で話としても本当に面白いです。
主人公のかえでちゃんの心理描写を軸に、兄健一さんを主人公としても読める技巧の効いた作品でもあります。健一さんをめぐる男たちの魅力と存在感たるや…!というか健一さん、ちょっと、村雨健二っぽいんだよな…

子供向けという感じではなく、大人たちの心理描写も驚くぐらい繊細で真に迫り、下手な大人向け作品よりよほど胸を打つのです。

他の少女マンガ作品も読んでみようと思います。